真夜中は純潔。
日付も変わろうかという夜半、帰路の空がなにやら蒼い。
そうか、今宵はとびきりの月。 それにどうしたことか、空気がやけにぬくい。
ああわかった、あいつが誘っているな。
家に戻るとシャッターをあけ、シリカの儀式をとり行い、蒼い闇へと滑り出す。
ヤマは冬の規制がはいっているからダム下で行き止まり。 ならば街灯から逃れ、月明かりだけにはなれないな。
まあそれでもいいさ、ナトリウムとLEDと、超おぼろ月夜のカクテルの中、空色の淑女と小さな逃避行。
粛々と滑るはずが、なんとなく足取りが重い。 昨日の泥仕合のダメージが残ってるのか? いや、違うなこりゃ。
掌に伝わる路面の感触がみるみる不快に変わって行き、やがてゴトン、ゴトンと。
あーあ、やっちまったよ。 前輪なんていつ以来だ?
そういやシリカしながら、「このタイア、いーかげんもっといかしたのに変えたいよなあ。」とパンクフラグを立てたもんな。
「てへ。」
はいはいそーですか。 まったく見事にフラグ拾うよなあお前は。
ヴェロフレックス・スプリンターで山梨峠のキンキンの砂利道5kmを走破してもへいちゃらだったくせに、
ちょっと他のタイアに色気だしたら速攻だもんな。 ブラの谷間に画鋲を隠し持ってるんじゃないかくらいの。
はい霜月も半ばの午前零時でございますよ。 修理道具なんて一切もってませんよ。
それでもこれっぽっちも腹が立ったりさせずに、まいっか、家まで3キロ、お手々つないで帰りましょ、なんて言わせるってんだから。
やること全てがことごとく許せてしまう存在ってどんだけよ。 ありえない女だよキミは。
色香の漂うクイルステムに手を添え、静まりかえった深夜の温泉街にチリチリチリチリとカンパニョーロのラチェット音をひびかせる。
見ているのは雲間から覗く蒼い月だけ。
「ダーリン、ちょっとご休憩していくけ?」
ばーか、自転車かついでチェックインしにいったら警察呼ばれるって。
余人にはとうてい理解らぬ恋路もあるのです。 ピース。
そうか、今宵はとびきりの月。 それにどうしたことか、空気がやけにぬくい。
ああわかった、あいつが誘っているな。
家に戻るとシャッターをあけ、シリカの儀式をとり行い、蒼い闇へと滑り出す。
ヤマは冬の規制がはいっているからダム下で行き止まり。 ならば街灯から逃れ、月明かりだけにはなれないな。
まあそれでもいいさ、ナトリウムとLEDと、超おぼろ月夜のカクテルの中、空色の淑女と小さな逃避行。
粛々と滑るはずが、なんとなく足取りが重い。 昨日の泥仕合のダメージが残ってるのか? いや、違うなこりゃ。
掌に伝わる路面の感触がみるみる不快に変わって行き、やがてゴトン、ゴトンと。
あーあ、やっちまったよ。 前輪なんていつ以来だ?
そういやシリカしながら、「このタイア、いーかげんもっといかしたのに変えたいよなあ。」とパンクフラグを立てたもんな。
「てへ。」
はいはいそーですか。 まったく見事にフラグ拾うよなあお前は。
ヴェロフレックス・スプリンターで山梨峠のキンキンの砂利道5kmを走破してもへいちゃらだったくせに、
ちょっと他のタイアに色気だしたら速攻だもんな。 ブラの谷間に画鋲を隠し持ってるんじゃないかくらいの。
はい霜月も半ばの午前零時でございますよ。 修理道具なんて一切もってませんよ。
それでもこれっぽっちも腹が立ったりさせずに、まいっか、家まで3キロ、お手々つないで帰りましょ、なんて言わせるってんだから。
やること全てがことごとく許せてしまう存在ってどんだけよ。 ありえない女だよキミは。
色香の漂うクイルステムに手を添え、静まりかえった深夜の温泉街にチリチリチリチリとカンパニョーロのラチェット音をひびかせる。
見ているのは雲間から覗く蒼い月だけ。
ばーか、自転車かついでチェックインしにいったら警察呼ばれるって。
余人にはとうてい理解らぬ恋路もあるのです。 ピース。
by denzia
| 2016-11-15 11:30